柳井ニシアティブは日本文化研究に持続可能で公平で世界と密につながる未来を拓くために活動しています。

Poster with Yanai Initiative logo at top showing Kabuki actor Nakamura Kyozo in a 2019 performance with bright red feather headpiece.
Kabuki actor Nakamura Kyozo in a performance of “Shujaku jishi” for UCLA students in November 2019.

柳井イニシアティブは、カリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)と東京にある早稲田大学の連携プロジェクトとして2014年に発足して以来、日本文化研究に持続可能で公平で世界と密につながる未来を拓くために活動してきました。

人口減少が進む一方の日本で大学が留学生の受け入れ人数を増やすにつれ、日本の過去に関する専門知識を次世代へ手渡していくうえで欠かせない役割を長らく担ってきた人文学プログラムが、ちょっとしたグローバル化の中心地になっています。日本の文学、演劇、映画、美術、ポップカルチャーなどを学びたい学部生たちが世界中から日本各地のキャンパスへやってきますが、日本語で書かれた資料にあたるだけの基礎的な語学力がないことも少なくありません。そこで大学側は、英語での講義を開講することになります。学部が丸ごと新設され、国際社会のいたるところで目につくようになった英語というグローバルな日常言語を使って、繊細かつ教養の薫り高い講義をおこなうことのできる教授陣が揃えられるのです。

柳井イニシアティブは、こうした現状が後々もたらすことになるだろうある種の弊害への懸念と、この状況に秘められたすばらしい可能性をいかしたいという熱い思いから生まれました。日本の研究機関が何世代にもわたって蓄積してきた知識やノウハウの価値が、日本の大学内部で別の価値観によって少しずつ日陰に追いやられるおそれがあるのなら、ファン層を広げてみようではありませんか。比較的せまい仲間内での情報伝達に慣れた研究者たちが、もっと幅広く、多様な研究者や学生と知識を共有し、同時に世界の別の地域で研究の場に飛びこむ機会を創りだせばいい。グローバル化の一つの波に、別の波で立ち向かうのです。

柳井イニシアティブの活動の原動力となっているのは、そんな思いです。発足当初はおもに学術的なプログラムやプロジェクトに力を入れていましたが、次第に文化の研究だけでなく実践のほうにも裾野を広げ、一般の方を対象としたプロジェクトやプログラムも打ち出してきました。